男性にとって頭髪が薄くなると外見がガラリと様変わりしてしまい、鏡の中の自分の姿を見つめるたびに徐々に自信喪失していくケースも少なくなく、仕事面であれ私生活の人付き合いであれ、どこか相手の目線が気になったり、あるいはちょっとしたことで自信を失ったり、引っ込み思案になってしまうことも多いものです。多くの人が失った頭髪を復活させ本来の自分の姿を取り戻したいと願いながら、それはもう無理なのではないかと諦めてしまっている人もとても多いのが実情と言えるでしょう。
この薄毛を引き起こしている原因として注目を集めるのがAGAです。これは男性ホルモンと頭皮の特殊な酵素が相まってDHTという物質を作りだし、これらを毛乳頭が感知することで頭髪の成長サイクルが乱れて抜け毛や薄毛を引き起こしていくという病気のことで、治療のためには専門のクリニックを受診して飲み薬や塗り薬を根気強く使用し続けることが必要なのですが、これに加えて私たちは遺伝から生じやすいこのAGAと生活習慣などが因果関係を結んで症状を悪化させていることも少なくないことを知っておく必要があります。
私たちの暮らしは日々、思いがけない生活習慣が体に悪影響を与えているケースを多く抱えており、例えば慢性的な眼精疲労もその顕著たるものと言えますし、とりわけ近年、誰もがスマートフォンを保有していていつでもどこでもインターネットにアクセスできる環境にいることは早朝から深夜まで常に目を酷使することにつながり、さらにオフィスでも業務上、デスクワークでのパソコンの使用が不可欠な人にとっては眼精疲労は日常生活を妨げる大きなネックとなりうるものと言えるでしょう。ですが、この眼精疲労は単なる目の疲れやそこから来る頭痛や肩こりなどの他にも様々な悪影響を与えていることが指摘されており、その中の一つがAGAとの因果関係に他ならないのです。
もちろん、AGAという病気そのものは遺伝などから生じる特殊な症状であり、男性ホルモンと5αリダクターゼという酵素が反応して作りだしたDHTという物質を毛乳頭の感知機能が察知すると即座に毛細血管からの栄養分の補給を抑制し、毛母細胞の細胞分裂を減少させることから頭髪の成長サイクルに大きな乱れが生じ、これが血行悪化を引き起こすことでさらなる栄養分の不足へと陥っていくことになります。
となると日常的にこれ以上の血行悪化を招くような事態は避けたいところですが、しかし生活習慣の中でそれを引き起こす大きな要因となるのが眼精疲労であり、これはつまり、本来ならば新鮮な血液の中に多分な栄養分を含んだ状態で頭皮の毛細血管まで滞りなく血液循環が行われるところを、その途中で眼精疲労という症状を発見した血液はその状態をなんとか改善しようと多くの血液を投じて回復に努めることとなります。
このように目という器官は多くの細胞と毛細血管と神経が束ねられることで機能を維持しており、そのためには血行が順調に維持され、過不足なく栄養分が補充されることが不可欠なものですが、その反面として頭髪にまで血行が行き渡らなくなってしまい、そのため必要な栄養分が補給できなくなり、AGAによる影響と相まって細胞分裂はさらに鈍化し、頭髪の成長はさらに乱れて抜け毛や薄毛が進むことになるのです。
つまり、AGAと眼精疲労は発病そのものにおける直接的な結びつきはないものの、しかし血液循環や栄養分の補給をめぐって薄毛が生じる過程において大きな因果関係を結んでいるわけですから、デスクワークなどにおいてもできるだけ休憩時間内に目の疲れをいたわったり、または四六時中スマートフォンを触って目を酷使するような状態はできるだけ控えることは、薄毛の発症を抑制する意味では極めて重要な対策と言えるでしょう。